ベートーヴェン ロマンス第一番ト長調作品四〇、同第二番ハ長調作品五〇
一八九一年の一月二十日、南ロシアのタルノーエで、
ヴァイオリンの名手ミッシャ・エルマンが生まれている。
彼は、オデッサ音楽院に入学、十歳のとき、
名教授レオポルト・アウアーに見出され、
アウアーの愛弟子として教育をうける。
エルマンのヴァイオリンには、他のヴァイオリニストには見られない、
甘く柔らかな昧があり、これを称して「エルマン・トーン」と呼んでいた。
その彼の演奏で、とくにわたしが好きだったのが、
ベートーヴェンの《ロマンス》であった。